入院2日目。

パッソを走らせ、母親と共に病院へ向かう。
お盆休みなので、道が空いていることが救いだった。
9時半頃、病院到着。
地下の駐車場に車を止め、まず昨日保留になった入院手続きをする。
そして、5FのICUへと向かう。
一晩何も連絡がなかったので、問題なさそうだと安心はしていたが
親父のところにいってびっくり。
なんと起きあがってベッドの上に座っていた。


まだモノが食べられないため点滴がはずせないものの、少し動けるようになっていた。
昨日の状況に比べればずいぶんと元気そうだった。
動くと天井が回るような目眩があるらしく、動作は非常にゆっくり。
上半身もかなりだるくて痛むようだ。


ちょうど外科の先生もいたので話を聞いたが、食べられるならなんでも食べさせていいとのこと。
食べられるなら点滴はずせるからどんどん食わせていいし、飲料も酒以外はなんでもどうぞと。
まじすか。
しばらく寝たきりかと思ってたのに、この拍子抜け感はなんだろうか。
まあ安心はしたけど。


そこで早速、母親が持っていたDAKARAを与えてみる。
が、急に胃にモノを入れたせいか気持ち悪くなってしまい全部吐いてしまった。
まあ、最初はしょうがないと外科医。
お昼ご飯もくるから少しずつ食べてくださいと言われ、外科医はICUを去っていった。


この驚異的な回復は、全ては骨折もなく後頭部の傷が裂傷になってくれたことによるらしい。
頭を強打して裂傷などの出血を伴う外傷にならなかった場合は、内部に障害がでていることが多く
当然ながら骨折や頸椎損傷なんてしていたらそれこそ寝たきりだと。
今日の午後にはICUから個室病棟のHCUに移れますよと言われ、看護師から少し説明を受ける。
準備ができるまではまだ時間があるのでゆっくりしていてくださいと言われる。
ICUじゃゆっくりできないよなあと思いつつ、親父を横にさせてやり眠らせる。
程なく眠りについたようだったので、母親と食事に行くことに。


親父の回復を目の当たりにして、母親はずいぶん安心したらしく食事もしっかり取り
顔色が良くなったように見えた。
昨日はやはり相当疲れていたらしくろくに食事も取っていなかった。
食事が終わった後、母親を病室に戻らせ、自分は父親の店に電話した。
店でがんばってくれている叔母さんたちに状況を伝えるためだ。
やはり父親が店に出られない状況に食わせてお盆休み前だったためにずいぶん忙しかったようで
叔母さんも疲れ切った声をしていたが、状況を伝えると安心し声色が変わった。
店の方は、従兄弟や甥っ子も来てくれてなんとかやっているとのこと。
いつも親父が周りによくしているからみんな協力してくれて、今日一日は乗り切れそうだよと。


電話を切り、病室に戻る。
親父はまだ寝ていた。
普段こんなに寝ることがないため、心配になりつつも脇でそっと見守る。
心拍数などが表示されている液晶ディスプレイが気になって仕方がない。
表示されている波形が変わったり、ランプがついたり、数値が大幅に変わったりする度に
親父の顔をじっと見つめて、変化がないことに安堵する。


程なくして、昼食が届く。
いかにも病院食といったバランスの取れたメニューだったが詳細は忘れてしまった。
まだあまり食べられない様子で、風呂吹き大根のあんかけ部分とおかゆを少し口にして、
あとは牛乳を飲んでいた。


13時ぐらいだったか。個室病室移動の指示がでる。
荷物は先に運んでもらったので、人の移動だけ。
親父は看護師さんに付き添われて車いすで移動。
入室許可をもらって入ってみると、ものすごく綺麗な個室だった。
ホテルの個室みたい。シャワー、トイレ、テレビ、冷蔵庫、洗面台完備。
窓も外から見えにくい角度でついていて、且つ他の病室も見えない。
携帯電話も使って大丈夫らしい。
テレビと冷蔵庫は有料(24時間で200円)らしいので、すぐにICカードを買ってきてあげた。
それと暇つぶしが必要になるかわからないけど、雑誌を2冊ほど地下の売店で購入。


お昼ご飯を少し食べれたので、点滴をはずしてもらえた。
食料を胃に入れたら、代謝がよくなったらしく少し暑がっていた。
晩ご飯までは何もないため、とりあえず寝かせる。
親父は病気の時でなくても、寝付きがものすごくいい。
寝ろっていわれれば、1秒で寝る。
このときも例に漏れず、すぐ眠りについた。


そして晩ご飯。
点滴をはずして寝ていたせいか、ずいぶんとお腹が空いていたようで
お昼ご飯の時より、ずいぶんと量を食べていた。
食べられるようになって元気もでてきたらしく
「なんでお粥なんだよ〜」と文句を言っていた。
いや、だって病人だし・・・さっきまでICU入ってたし・・・。
姿を見たらものすごい事故にあった人だが、動きづらいだけで他はかなり回復しているようだ。


ご飯が終わって落ち着くと眠くなってきたようで、もうあとは寝るだけだから帰っていいよと親父。
個室に移ったとはいえ、24時間態勢で容態の変化をモニタリングしてもらえるHCUなので
看護師さんにお願いし、今日のところは早めに帰ることにした。

そして2日目が終わった。